他NPO/NGOとの連携・支援
未だ当基金からの出資による活動にはなっていませんが、以下の活動に協力しつつ将来的な協働を模索しています。
農福連携分野での活動
静岡県袋井市の障害者福祉施設では、農福連携という考え方に基づいた地域密着型の活動を展開している。社会参加や雇用機会(現金収入)の拡大を求める障害者や高齢者が存在する一方で、農業分野では農家の高齢化や担い手不足、耕作放棄地の増加等が問題となっている。このような両者を「農福連携」という形でマッチングさせて結びつけることによって、地域の中でお互いに支え合うより良いコミュニティを作ることが課題の解決につながると考えられる。現在、障害者施設近くの農家の畑や温室を借りて、ブドウ、藍、シイタケ、センリョウ等の栽培を農福連携の活動として実施している。これまでに収穫物としてのブドウやセンリョウを販売して収益を得ており、原木シイタケの栽培も開始している。また、栽培した藍を使った藍染め体験会や、6次産業化をめざして藍染め製品作りとその販売も計画している。マスカット基金としては、こうした活動に参加しつつ周辺の一般農家や耕作放棄農地等へも活動を拡大し、地域での活動に興味を持つ人たちともつながり、農福連携をさらに広げていくことに貢献したいと考えている。
参考資料
- ユニバーサル便り第1号(2020春)
- ユニバーサル便り第2号(2020夏)
- ユニバーサル便り第3号(2020秋)
- ユニバーサル便り第4号(2021冬)
- ユニバーサル便り第5号(2021春)
- ユニバーサル便り第6号(2021夏)
- ユニバーサル便り第7号(2021秋)
- ユニバーサル便り第8号(2022冬)
- ユニバーサル便り第9号(2022春)
- ユニバーサル便り第10号(2022夏)
- ユニバーサル便り第11号(2022秋)
- ユニバーサル便り第12号(2023冬)
- ユニバーサル便り第13号(2023春)
- ユニバーサル便り第14号(2023夏)
- ユニバーサル便り第15号(2023秋)
- ユニバーサル便り第16号(2024冬)
- ユニバーサル便り第17号(2024春)
- ユニバーサル便り第18号(2024夏)
- ユニバーサル便り第19号(2024秋)
- ユニバーサル便り第20号(2025冬)
藍染体験会
ブドウの栽培
シイタケ菌打ち
センリョウ収穫
IFPCAとの協力
NPO法人 中央アジア森林草地保全研究所(IFPCA)は主として、中央アジアの諸国、中国新疆ウイグル自治区等の乾燥地を対象に、その自然環境を保全し、「人間と自然のよりよい共生関係」の達成をめざしている。具体的には、地域住民と共に協働して自然環境の解析をしながら、問題のありかを自然科学的に究明し、最適な施策を構築・企画・実施しようとしている。費用を得るために、国内外のファンドを対象に企画書を提出して研究調査費の確保に努力すると共に、必要に応じてセミナー、講演会、出前講義、写真展等も開催している。
タジキスタン国ゴルノ・バダフシャン州(パミール)は標高4,000mの台地で、ソビエト崩壊後に燃料の供給が絶たれ、住民は煮炊き・暖房のため、天然性灌木のテレスケンを燃材として乱獲し、自然生態系が危機に瀕している。さらに、世界的なツーリズムの進展や一帯一路による経済活動の急速な発達が、テレスケンの乱獲に拍車をかけエネルギーの危機が生まれた。エネルギー危機を持続可能な方法で解決するため、テレスケンの苗木造成と植林が求められている。ワハン回廊のシルギン(Shirgin)には豊富な温泉水(40-80℃)があり、これを利用した全天候型の温室が設置できれば、野菜栽培と共にテレスケン苗木の育成が可能となる。山出し可能になった苗木をパミールの荒廃地に植林すれば、エネルギーの供給を持続可能なものとすることができる。
マスカット基金はこのような考えに賛同し、温室の構造や暖房方法に関する技術的な支援を行ってきた。今後の活動の展開に応じて、更なる必要な支援を実施したいと考えている。
テレスケンの生育
テレスケンの採取
テレスケンの乾燥
テレスケンの利用
シルギン温泉
温室建設
保護区の準備
既存の保護区
EENとの協力
EEN(Economic Empowerment Network)は、利用可能なリソースを利用して収入を生み出す活動を開始または改善しようとしている人々に、さまざまな情報および技術サポートを提供するグローバルネットワーク組織としての活動を展開している。 EENのビジョンは、人々が持続可能な生活を実現できる世界の実現に貢献することとしている。地域住民が経済的エンパワーメントの手段を模索し、強化するのを支援することがEENの使命であり、彼等が「利用可能なリソースでエンパワーメントされる」ようにすることを目指している。
EENは、タンザニア北西部のキゴマで活動しているWoFE(Workforce Friends of Environment)に対する支援を実施している。この団体は、脆弱なコミュニティの若者や小規模農家が関与するアグリビジネスを促進することにより、農村の変革を達成することを目指している。 WoFEは2019年に地方自治体に登録され、野菜の種を提供することで地元の農家への支援を開始した。この団体は環境保全にも関心を持ち、現在は有機農業の推進に力を入れている。 WoFEの活動は有機農業に留まらず、牧畜やエコツーリズムなどにも取り組みを広げて行くことを考えている。
マスカット基金はこれまでに、現地で効率的な有機農業を推進するためのノウハウに関する技術支援を行ってきた。今後の活動の展開に応じて、更なる必要な支援を実施したいと考えている。下の写真は、マスカット基金の関係者が2000年代初頭にキゴマを訪問した時の現地の様子である。
参考資料:EENのホームページ
タンガニーカ湖
キャッサバの栽培
野菜の栽培
アブラヤシ植栽
ミドリゼーション・プロジェクトとの協力
ミドリゼーション・プロジェクトは、緑化活動を通じてより良い生活環境を整え、自分たちの未来の社会をデザインすることを目的として2016年に活動を開始した。具体的な活動は、生態系の修復、森の再生、生物多様性の回復、土壌の改善、土砂流出防止など防災対策、自然資源の創出、水源保全、また都市機能に必須な精神的休息や癒し効果の提供など、森づくりがもたらす効果を最大限に活用することとした。これまでに、オーガニックフルーツを生産する農場の立ち上げ、アラブ諸国初となる宮脇方式導入による森林再生、生活環境向上のためのアーバンフォレスト等の経験を積み重ねて来た。さらに、ドイツ政府の海外開発機構であるGIZやアンマン市行政などの公的機関とも一緒にふるさとの森づくりを進めてきた。
ミドリゼーション・プロジェクトの考え方は、「潜在自然植生を中心にその森を構成している多数の樹種を混ぜて植栽する混植・密植型の植樹」を基本とする宮脇方式に根ざしている。この方式によって植樹された木は、植物間の生存競争により、通常の植樹よりも成長速度が速く、丈夫に成長し乾燥や災害にも強いとされている。人口密度が高く、緑地へのアクセスが殆どないヨルダンの首都アンマンでは、住民の生活環境を改善し都市の気候変動に対するレジリエンスの向上を目指した都市緑化が積極的に進められている。アンマンのような乾燥地域においては、水資源の使用を最小限に抑えると同時に、土壌保全や水資源の涵養を促進することが出来る点でも、こうした緑化事業が見直されている。
一方マスカット基金のスタッフは、湾岸諸国における都市緑化や主に砂丘固定を目的とした沙漠緑化を経験して来た。これらの地域は水資源に制約があるため、生育の速い外来樹種が植栽される傾向が強く、侵入植生の弊害や持続性の問題もあって見直しが図られてきた。マスカット基金は、こうした経験を基にミドリゼーション・プロジェクトに対してできる範囲内で技術的な助言を実施して来た。今後の活動の展開に応じて、更なる必要な支援を実施したいと考えている。
参考資料1:ミドリゼーション・プロジェクトのホームページ
参考資料2:ミドリゼーション・プロジェクトのブログ